信用調査(与信調査)とは?~重要性や調査の方法、活用のタイミングなどを解説
事業を維持して拡大していくためには、販路拡大を行う必要がありますが、取引先が増えても未回収の売掛金が増大してしまっては本末転倒です。そこで、取引先企業に対して信用調査(与信調査)を行うことが重要ですが、実施しても未回収リスクが抑えられるとはいえないケースもあるため、それに対する対策も必要だと言えるでしょう。
本記事では、信用調査の方法や重要性を解説したうえで、未回収リスクを抑えるための対策についてもご紹介します。
- 目次
信用調査(与信調査)とは
信用調査(与信調査)とは、取引を行う相手企業に対して、支払い能力など金銭的な信用度合いに関する情報を調査することです。信用調査は自社で行うケースのほか、外部の信用調査会社などに委託するケースもあります。
信用調査の方法
信用調査の方法は主に次の4つがあります。
【社内調査】
自社の営業部や経理部などに蓄積されている情報や過去に取引を担当した社員との面談によって情報を収集します。
【直接調査】
取引先企業の代表や担当者に、訪問や電話、FAX、メールなどの手段でヒアリングを行います。
【外部調査】
調査対象となる企業以外から情報を入手する方法で、商業登記簿や不動産登記簿などを取得する官公庁調査や、インターネットを利用する検索調査です。
【依頼調査】
信用調査会社などに依頼する方法です。
信用調査を行う際には、決算書の情報による定量分析と、数値では測れない情報による定性分析の双方が必要です。特に中小企業の場合、決算書の入手が難しいこともあるため、ホームページや企業情報データベースなどインターネットで収集できる定性情報も参考になります。信用調査会社に依頼する場合の料金は、3~5万円程度が目安です。
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信用調査の報告書でわかること
信用調査の報告書には一般的に次の項目が記載されています。
会社基本情報
企業概要を記載しています。創業や設立年が古い歴史のあるケース、あるいは資本金や従業員数が多いケースは、信用度合いが高いです。
業績推移
売上高や営業利益、経常利益、当期純利益が記載され、利益が多く増加率が高いと、信用度合いが高いです。
事業構成
各事業の売上高の割合を示しています。主力事業以外でも売上を確保し、多角経営を行っていると評価が高いです。
信用要素別評価(100点満点評価)
調査結果をもとに信用要素ごとに点数化して合計点を算出。点数が高いほど高評価です。
信用程度(段階評価)
信用要素評価の合計をランク付けしています。
近年の評点推移
信用要素評価の合計の推移を示しています。上昇傾向にある方が信用度合いは高くなります。
不良債権
金融機関が回収不能となった債権です。不良債権が発生していなければ信用度合いは高くなります。
現況と見通し
調査の結果を総括したものです。特に最近の動向が重要となります。
このうち、信用度合いを調査にもとづいて数値化したものが信用要素別評価です。
信用調査の重要性
BtoB取引では商品の納入後に代金を受け取る掛売りが中心です。相手企業の信用度合いを把握せずに取引を行い、債務超過に陥っている場合は、代金を回収できないリスクが高くあります。
そのため、代金の未回収リスクを抑えるには、取引先企業の信用調査は欠かせないものなのです。
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信用調査を実施しなかった場合のシナリオ
与信調査を実施せずに取引を行うことによるリスクとして、次が挙げられます。
- 売掛債権を回収できない
- キャッシュフローが悪化して業界内での印象が悪くなる
- 連鎖倒産を起こしてしまう
信用調査を実施しないと、取引先の信用度合いを把握できないため、売掛債権の未回収リスクが高まります。また、売掛金の入金がなくても仕入れ先などへの支払いは発生します。そのため、キャッシュフローが悪化して借入れを行うと、利息も負担となり、取引先が倒産すると、連鎖倒産を起こしてしまう可能性すらあるのです。
売掛債権を回収できない
掛売りでの取引では、支払期日に取引先からの入金がないという未回収リスクがあります。信用調査を実施せずに取引を開始すると、取引先の資金繰りが悪化していることを見抜けません。それにもかかわらず掛売りをしてしまうと、売掛債権を回収できない事態に陥ることがあるので注意が必要です。
キャッシュフローが悪化して業界内での印象が悪くなる
売掛債権を回収できなくても、仕入れ先への支払いや税金の支払いは期日までに行わなければなりません。そのため、キャッシュフローが悪化して仕入れ先への支払いを遅延してしまうと、業界内での自社の印象が悪くなってしまいます。
連鎖倒産を起こしてしまう
キャッシュフローが悪化して資金繰りに困り、金融機関から融資を受けると利息の負担が重くのしかかります。そして、売掛債権が未回収の取引先が倒産してしまうと、回収の見通しが立たず、借入金や利息の返済の目途が立たなくなり、最悪のケースでは連鎖倒産を招きます。黒字経営であっても、売掛債権の未回収が重なると、資金繰りの悪化によって倒産を招くことがあるのです。
信用調査はいつ活用すべきか?
信用調査を活用すべきタイミングとして、主に以下のケースが挙げられます。
- 新規の取引先企業に支払い能力があるか知りたい
- 継続取引を続けてきたが「経営が苦しい」といった情報を耳にした
- 取引額を増やしたいけど上限が分からない
- 新規開拓に注力していきたい
信用調査を活用できるのは、新規の取引先企業の支払い能力を確認したいときだけではありません。継続して取引を続けてきた企業の経営の悪化が疑われるときや、反対に取引額の拡大を検討しているときに、与信限度額をどの程度引き上げても問題ないか知りたいときにも活用できます。
また、新規開拓に力を入れていく際には、ターゲットとなる企業の取引状況を把握することで、競合対策に活かせます。
信用調査だけでは足りない理由
BtoB取引において信用調査は未回収リスクを抑えるために行うものですが、実施すれば必ずしも安心できるとは限りまぜん。
大企業は情報を収集しやすく、中でも上場企業は法律や証券取引所のルールによって、事業内容や財務状況、経営上の重要な情報などを開示することが義務付けられています。
一方、中小企業は公表されているデータが限定的で、収集できる情報も限られています。中小企業は信用調査を行っても判断材料が乏しいことから、信用の度合いを把握しにくく、取引を始めにくいのです。
しかし、日本の企業の多くは中小企業であり、販路を拡大するためには積極的に取引を行う必要があります。中小企業との取引は信用調査を行っても、やはりある程度のリスクテイクが必要です。
企業経営においては、未回収リスクを抑えて健全なキャッシュフローを維持することが重要ですが、信用調査を実施するだけの対策では不十分だと言えます。
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引用元:wiki Paid
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まとめ
売掛金の未回収リスクを抑えるためには信用調査を行うことが欠かせません。しかし、信用調査の実施だけでは売掛金の未回収リスクを抑えるための対策としては不十分です。BtoBの後払い決済サービス「Paid」を利用すると、取引先企業からの支払いが100%保証されるため、未回収リスクを抑えて安心して取引を行うことができます。